何年前からか安い銀ピアスを耳たぶにつけている。 それをプールで外し、そのまま無くしてしまった。 そのプール関係者に無くしたことを告げたのだが、 「安物だし別に見つからなくてもいい・・」 と帰ってきた。 その後すぐに近所の雑貨屋で新しく銀ピアスを525円で購入した。 「あまり気にいらないヤツやな・・」 と思っていたら、バレル店内でいつの間にか外れて無くしていた。 「気にいらない・・」をピアスに悟られてしまったのだろう。 「このままパテかなんかで耳たぶの穴ふさいだろうか?」 と思った矢先にプール関係者から「落し物が見つかった」と連絡がきた。 「あのピアスとはどうやら赤い糸で繋がってるなあ・・」 と、そんなことを考えながらオーダーされた「〆サバ焼き」を焼いていた。 すると・・・ 厨房内の排水溝にキラリと光るものを見つけた。 「気にいらない」ピアスであった。 「別にこっちは見つからんでもよかったのに・・」 なんて思いながらも、排水溝から拾い洗浄したピアスを再び装着した。 で、 ものぐさな俺は未だにプールで落とした「赤い糸のピアス」を取りに行ってない。 「安いから落とすのだろうか?」 「高いと大事にするのだろうか?」 プラチナと金のピアスを検索し、銀との値段の違いに唸るという、 そんな懲りない日々がまた始まった。
山口県宇部市出身。食材と出会っては仕込むことを生き甲斐とし、その辺の居酒屋より安く安全でマシなものを提供していると自負する池袋ROCK BAR店主による文